Saturday, September 25, 2010

刑事手続き、検察組織の改革を

起訴便宜主義は、検察官が容疑者の状況を総合的に勘案して、訴追するかどうかを決める仕組みです。検察官に裁量があるため、時に起訴されるべき事件が起訴されなかったり、不当に起訴されるという問題が生じます。検察に裁量を持たせず、法令違反の事実があれば訴追が義務づけられる起訴法定主義がその逆の考え方です。

 第二の問題は、検察の組織としての価値判断や評価の仕組みの問題です。検察では、「いかに社会的に大きな影響を与えた事件を立件し有罪にできたか」ということが評価の軸になり、公判で無罪や、有罪でも想定よりも軽い刑になった場合、「負け」という表現を使うようです。

 この評価の仕組みのもとでは、組織が誤った目標を掲げてしまった場合、検察は間違った目標に向けてなりふり構わず暴走する、ということが構造的に起きる可能性があります。

 今回は、第一の刑事手続きの問題については、(1)取り調べの可視化の徹底(2)最良証拠制から手持ち証拠開示の義務化への変更(3)起訴便宜主義から起訴法定主義への転換--を提案します。また、第二の検察の組織問題については、形骸(けいがい)化している「検察官適格審査会」に代わり、より厳格に検察官の適否を審査できる第三者機関の導入を提案します。

 どうしたら検察の信頼を取り戻し、私たちが万一の時にも、不安なく司法手続きを受けることができるようになるのか、皆さんの意見をお待ちしています。(経済評論家)

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