Saturday, September 25, 2010

勝間和代のクロストーク:みんなの経済会議/46 

郵便不正事件をきっかけに、検察という組織への信頼性が揺らいでいます。同事件では、検察側が控訴をせず村木厚子さんの無罪が確定しました。しかし、他の事件でも「検察が事件のストーリーを作り、無理やり証言や証拠をあてはめる」という捜査手法が取られていたのでは、という疑念は消えません。

 現行の検察制度は、大きく分けて2種類の問題があると考えています。

 第一の問題は、刑事手続きの問題です。具体的には、(1)取り調べの可視化のしくみがない(2)最良証拠制を採用しており、証拠の採用が検察官に任されている(3)起訴便宜主義という形で検察官が起訴、起訴猶予、不起訴を裁量で判断する--の3点です。

 村木さんの裁判では、取り調べ段階で作成された調書43通のうち、「検察側が誘導して作成された可能性がある」として、裁判所は34通を不採用としました。取り調べに当たった検察官は全員、取り調べ時のメモを「破棄した」として提出しませんでした。これらのことは、取り調べの可視化で改善できるはずです。

 また、主任検事が証拠の一つであるフロッピーディスクを書き換えたことも事件になりました。フロッピーは、検察側は証拠として提出していません。本来の文書作成日時が判明すれば、裁判での検察の主張が崩壊してしまうからだと思われます。このことから、検察にとっての「最良証拠」だけでは事件の真相は明らかにならないと考えます。

 起訴便宜主義は、検察官が容疑者の状況を総合的に勘案して、訴追するかどうかを決める仕組みです。検察官に裁量があるため、時に起訴されるべき事件が起訴されなかったり、不当に起訴されるという問題が生じます。検察に裁量を持たせず、法令違反の事実があれば訴追が義務づけられる起訴法定主義がその逆の考え方です。

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